マテ茶を飲んでみたら「麦茶やほうじ茶みたいで飲みやすかった」という方もいれば、「青っぽくて苦かった」という方もいます。同じマテ茶なのに、なぜこんなに印象が違うのでしょうか。
その答えが、「ロースト」と「グリーン」の違いです。日本でよく見かけるマテ茶のティーバッグには、ローストタイプが多くあります。一方、本場の南米で毎日飲まれているマテ茶の多くは、焙煎していないタイプ、つまり日本でいう「グリーン」です。
この記事では、アルゼンチンの食品規格やブラジルの研究など、南米の資料をもとに、ロースト・グリーンの違いと、手元のマテ茶がどちらかを見分ける方法をご紹介します。
ロースト・グリーンの違いは「焙煎しているかどうか」
ロースト・グリーンのどちらも、原料は同じマテの木(学名:Ilex paraguariensis)の葉です。違いは、仕上げに焙煎(ロースト)の工程があるかどうかです。
日本茶にたとえると、グリーンは緑茶、ローストはほうじ茶に近いイメージです。同じ茶葉でも、焙煎すると香ばしくなり、色も茶色に変わります。
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ロースト | グリーン |
| 茶葉の色 | 茶色〜黒褐色 | 緑〜黄緑、オリーブ色 |
| 水色(お茶の色) | 麦茶のような茶色 | 黄緑〜黄金色 |
| 味・香り | 香ばしく、クセが少ない | 草のような青々しさと、ほろ苦さ |
| 主な飲み方 | ポットやティーバッグで淹れる | マテ壺とボンビージャで飲む/冷たいテレレ |
| 主に飲まれている地域 | ブラジル(リオデジャネイロなど) | アルゼンチン、パラグアイ、ウルグアイ、ブラジル南部 |
ローストは、ほうじ茶感覚でごくごく飲見やすい。一方グリーンは、マテ茶本来の風味をしっかり味わえます。


オーナーが実際に撮影した、パハリートのマテ茶ロースト(左)とマテ茶グリーン(右)
実は南米では「グリーン」とは呼ばないのが一般的
少し意外かもしれませんが、南米では「グリーンマテ」という呼び方はあまり使われません。
たとえば、アルゼンチンの食品規格(Código Alimentario Argentino)では、普通のマテ茶は単に「Yerba Mate(ジェルバ・マテ)」と呼ばれます。そして、ローストしたものは「Yerba mate tostada(焙煎したマテ茶)」として、「完成したマテ茶を、さらに焙煎したもの」と別に定義されています。
つまり南米では、焙煎していないマテ茶が「普通のマテ茶」で、ローストのほうが特別なものという位置づけです。「グリーン」は、ローストと区別するために日本などで使われている呼び方だといえます。
ここでもうひとつ注意したいのが、「グリーン=緑色」とは限らないという点です。パラグアイやアルゼンチンのマテ茶は、乾燥させたあと1〜2年ほど寝かせて熟成させるものも多く、茶葉は鮮やかな緑ではなく、黄緑〜黄土色になります。
当ショップで扱っているパラグアイの「パハリート(Pajarito)」も、最長で2年ほど熟成させるため、少し黄色っぽい色をしています。ですが、ローストはしていないマテ茶です。
言葉の違いを整理すると、次のようになります。
| 日本での呼び方 | スペイン語 | ポルトガル語 | 意味 |
| グリーン | Yerba mate | Erva-mate | 焙煎していない、普通のマテ茶 |
| ロースト | Yerba mate tostada | Chá mate/Mate tostado | 焙煎したマテ茶 |
| (熟成) | Estacionada | Estacionada | 寝かせて熟成させたもの |
なお、ブラジル南部で「erva verde(緑のマテ)」と言う場合は、「熟成させていない鮮やかな緑色の茶葉」を指すことが多く、日本の「グリーン」とは意味が少し違います。海外の商品を選ぶときは、覚えておくと役立ちます。

製法の違いと、「香ばしい=ロースト」ではない理由
普通のマテ茶(グリーン)ができるまで
焙煎していないマテ茶は、おおまかに次の順番で作られます。
- 収穫:マテの木から葉と若い枝を摘み取る
- サペカード:直火で葉を短時間あぶり、葉の変色を止める
- 乾燥:熱風や薪の火で、時間をかけて水分を飛ばす
- 粗挽き・熟成:粗く砕いてから数か月〜2年ほど寝かせる
仕上げ:細かく挽いて、ふるいにかけ、袋詰めする
ローストは「完成したマテ茶をさらに焙煎したもの」
ローストは、こうして完成したマテ茶を、コーヒー豆のようにさらに焙煎したものです。アルゼンチンの食品規格でも、そのように定義されています。
香ばしさやスモーキーさは、焙煎していなくても生まれる
ここで知っておきたいのが、焙煎していないマテ茶にも香ばしさがあるということです。アルゼンチンの規格では、普通のマテ茶そのものが「乾燥させ、軽く焙られ、細かく砕いた葉」と定義されています。これは、サペカードで葉を直火にかけるためです。さらに、薪の火や煙で乾燥させるマテ茶には、燻製のようなスモーキーな香りがつきます。
当ショップのパハリートを「香ばしく、スモーキー」とご紹介しているのも、この乾燥と熟成の工程で生まれた香りのことです。ローストしているわけではありません。
香りで見分けるなら、次のように考えるとわかりやすいです。
●ロースト:コーヒーや麦茶のような、焙煎した香り
●グリーン:草のような香りの中に、ほんのり燻製のような香りがあることも

南米では、ローストはどう飲まれている?
ローストも、南米で昔から飲まれているマテ茶のひとつです。ただし、飲み方がグリーンとは違います。
●ブラジル:ローストのマテ茶は「シャ・マテ(Chá mate)」と呼ばれ、特にリオデジャネイロで人気があります。広まったきっかけは、老舗メーカー「マテ・レオン(Matte Leão)」のティーバッグだといわれています。リオでは海岸で冷たいシャ・マテを売る文化があり、その売り子は2012年にリオ市の無形文化財になりました。ただし、同じブラジルでも南部では、焙煎していないマテ茶をマテ壺で飲む「シマロン」が主流です。
●パラグアイ:朝食の定番として、マテ茶を煮出してカップで飲む「コシード(Cocido)」があります。
つまり、ローストはカップで飲むマテ茶、グリーンはマテ壺で飲んだり冷たいテレレにしたりするマテ茶と、使い分けられているのです。
成分の違いは?研究でわかっていること
焙煎すると、成分も変わります。ブラジルの国立農業研究機関(Embrapa)とパラナ連邦大学の研究(2020年)では、焙煎後のマテ茶は焙煎前と比べて、平均でカフェインが約32%、ポリフェノールが約22%少なかったと報告されています。
また、別の研究(Riachiほか、2018年)では、成分の変化には焙煎時間よりも温度が大きく影響することがわかっています。
「カフェインを少し控えたい」という方にとっては、ローストもひとつの選択肢になりそうです。なお、マテ茶の健康面については「マテ茶とがんのリスク」の記事で詳しく解説しています。

日本で売られているマテ茶はどっち?見分け方3ステップ
日本で身近なマテ茶には、ブラジル産ローストのティーバッグが多くあります。たとえば、カルディで売られているマテ茶は、ブラジル産のローストです。
日本でローストが身近になったのは、香ばしい味わいがほうじ茶や麦茶に近く、日本人に飲みやすいからだと考えられます。ポットやティーバッグで手軽に淹れられるため、普段のお茶として取り入れやすいのも理由のひとつでしょう。
一方で、グリーンのティーバッグもあります。当ショップのティーバッグ(パラグアイ産パハリート)もグリーンです。
👉グリーンマテ・ティーバッグはこちら
手元のマテ茶がどちらか迷ったら、次の3つを確認してみてください。
- 表記を見る:「ロースト」「ブラック」「Tostado」「Chá mate」とあればローストです。
- 原産国を見る:ブラジル産はローストが多く、パラグアイ産やアルゼンチン産はグリーンが中心です。ただし例外もあります。
- 色を見る:茶葉や淹れたお茶が茶色〜黒っぽければロースト、緑〜黄緑色ならグリーンです。
カルディのマテ茶と本場の茶葉の味の違いは、「カルディと本場のマテ茶を飲み比べ」でもご紹介しています。


ロースト・グリーン、どちらを選ぶ?
| こんな方に | おすすめ |
| ほうじ茶感覚でごくごく飲みたい | ロースト |
| カフェインを少し控えたい | ロースト |
| 本場のマテ茶の味を知りたい | グリーン(パハリート プレミアム) |
| 冷たいテレレやマテ壺で楽しみたい | グリーンの茶葉 |
| 手軽にグリーンを試したい | グリーンのティーバッグ(当ショップのティーバッグ) |
グリーンの苦味が気になる場合は、淹れ方を少し変えるだけでも飲みやすくなります。「マテ茶が苦い!と感じたら」もあわせてご覧ください。

まとめ
●ロースト・グリーンの違いは、焙煎しているかどうか
●南米では、焙煎していないマテ茶が「普通のマテ茶」
●日本で身近なのはローストのティーバッグですが、グリーンのティーバッグもあります
ローストのマテ茶しか飲んだことがない方は、ぜひ一度、南米で毎日飲まれているグリーンのマテ茶も試してみてください。同じマテ茶とは思えないほど、違った魅力に出会えるはずです。
当ショップでは、パラグアイで人気のブランド「パハリート」の茶葉とティーバッグを取り揃えています。茶器と茶葉がセットになったスターターキットもございますので、ぜひご覧ください。
マテ茶に関する情報はインスタグラムでも発信しています。よければフォローしてくださいね。 👉インスタ

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