インターネット上では「マテ茶は発がん性がある」という情報があったり、不安に感じている方も多いと思います。しかし、これは正確な情報とは言えません。がんとの関連で問題とされているのは、マテ茶そのものではなく「飲む温度」であることが、国際的な研究機関の評価でも明確になってきました。
結論:マテ茶自体の問題ではなかった
2016年に世界保健機関(WHO)の研究機関であるIARC(国際がん研究機関)が行った調査では、マテ茶自体はコーヒーや緑茶と同じ分類とされました。一方、「65℃以上の非常に熱い飲み物」については、マテ茶に限らずあらゆる飲料を対象に、食道がんとの関連が指摘されています。
つまり、問題はマテ茶という飲み物ではなく、飲む温度にあるというのが、現在の科学的な見解です。
なぜそう言えるのか
この結論は、複数の大規模な調査研究の結果に基づいています。南米4カ国を対象とした研究(Lubin et al., 2014)では、65℃未満のマテ茶にはリスクの増加が認められなかった一方、65℃以上の非常に熱いマテ茶ではリスクの増加が確認されました。さらに、同様の傾向は中国・イラン・トルコなど、熱いお茶を飲む習慣のある地域でも見られており、熱い飲み物全般に共通する問題であることが示されています。
IARCの評価はどう変わったのか
「マテ茶が危険」という情報の出どころ
1991年、IARCは「熱いマテ茶」をグループ2A(おそらく発がん性がある)に分類しました。この発表が「マテ茶は発がん性がある」という情報が広まるきっかけとなりました。
しかし当時の評価には、大きな問題点がありました。それは、「マテ茶という飲み物自体が問題なのか」「熱い温度が問題なのか」が区別できていなかったことです。
2016年の再評価で何が変わったか
25年後の2016年、世界中から集まった23名の専門家が改めてすべての研究データを調べ直しました。その結果、評価は大きく変わりました。
| 対象 | 評価 |
|---|---|
| マテ茶(65℃未満) | 発がん性について判断できない(コーヒーや緑茶と同じ) |
| 65℃以上の非常に熱い飲み物(全般) | おそらく発がん性がある |
ここで重要なのは、「65℃以上の非常に熱い飲み物」というのは、マテ茶だけを指しているわけではないという点です。コーヒーも緑茶も紅茶も、65℃以上であれば同じ評価になります。
参考:IARC公式プレスリリース No.244(2016年6月)
科学的研究が示すこと
温度によってリスクはどう変わるか
南米4カ国(アルゼンチン・ブラジル・パラグアイ・ウルグアイ)で行われた大規模調査(Lubin et al., 2014)では、食道がんの患者約1,400名と健康な方約3,200名を比較し、マテ茶の飲用温度とがんの関係が詳しく調べられました。
結果をわかりやすく整理すると:
| 飲用温度 | リスクの変化 |
|---|---|
| 温かい(65℃未満) | 有意な増加は認められなかった |
| 熱い | 増加傾向あり |
| 非常に熱い(65℃以上) | 明確な増加が確認された |
この研究が示しているのは、同じマテ茶でも、飲む温度によってリスクの状況が変わるということです。温かい温度(65℃未満)であれば、統計的に問題となるリスクは確認されませんでした。
参考:Lubin JH, et al. Cancer Epidemiology, Biomarkers & Prevention, 2014.
マテ茶だけの話ではない
これは非常に重要な点ですが、同様の傾向はマテ茶以外の地域でも確認されています。
*中国:非常に熱いお茶を飲む習慣がある地域で、食道がんの発生率が高い
*イラン:熱いお茶を飲む文化がある地域で、同様の傾向が報告されている
*トルコ:熱いチャイを飲む習慣がある地域で、リスク増加が確認されている
マテ茶の習慣がまったくないこれらの地域でも同じ傾向が見られることが、「温度こそが問題であって、マテ茶という飲み物自体ではない」という見解を強く支持しています。
参考:IARC Monographs Volume 116 (2018)

なぜ熱い飲み物が食道に影響するのか
熱い飲み物が食道に影響する仕組みは、次のように考えられています。
食道の内側は、薄くてデリケートな粘膜で覆われています。65℃を超えるような熱い液体が通過するたびに、この粘膜が少しずつ傷つきます。
傷ついた粘膜は修復しようとして、細胞が何度も分裂します。細胞が分裂するときには遺伝子のコピーが行われますが、何度も繰り返されることでコピーミスが起きやすくなります。このミスの積み重ねが、長い年月をかけてがん化リスクに繋がる可能性があると考えられています。
ただしこれは、1回や2回飲んだだけで影響があるわけではありません。何年・何十年にもわたって非常に熱い状態で飲み続けることで、影響が蓄積していく可能性があるというものです。
農林水産省も公式にこの点について、「飲料を飲用する温度と食道がんのリスクとの間に関連性があることは研究により示されている」と言及しています。
参考:農林水産省「マテ茶及び非常に熱い飲料の発がん性分類評価について」

まとめ
マテ茶とがんの関係について、科学的な研究からわかっていることを整理します。
① 問題は「温度」であって「マテ茶」ではない IARCは2016年の再評価で、マテ茶自体をコーヒーや緑茶と同じ分類としました。懸念されているのは「65℃以上の非常に熱い飲み物全般」です。
② 65℃未満ではリスクは確認されていない 大規模疫学研究でも、65℃未満のマテ茶には統計的に有意なリスク増加は認められませんでした。
③ マテ茶に限らず、熱い飲み物全般に共通する話 マテ茶の習慣がない中国・イラン・トルコでも同様の傾向が見られており、飲み物の種類ではなく温度が要因と考えられています。
④ 少ない頻度で影響があるわけではない 何年・何十年もの長期にわたって非常に熱い状態で飲み続けることで、影響が蓄積する可能性が指摘されているものです。
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参考文献:
IARC Press Release No. 244, June 15, 2016
IARC Monographs Volume 116: Coffee, Maté, and Very Hot Beverages (2018)
Lubin JH, et al. Cancer Epidemiology, Biomarkers & Prevention, 23(1):107-116, 2014
PAHO/WHO Official Statement, June 16, 2016
農林水産省:「マテ茶及び非常に熱い飲料の発がん性分類評価について」(2016)


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